人間関係

年賀状じまいの挨拶を印刷した。1枚だけ、手書きにした

夜の食卓で、旧友に送る年賀状を1枚だけ手書きする美冬

年賀状じまいの挨拶を印刷し終えた美冬は、古い年賀状を見返していて、1枚だけ送るのをためらいました。もう何年も会っていない友人に、その文を送りたくない理由がありました。

※この記事のSTORY部分はオリジナルフィクションです。

STORY|「この年賀状を最後に」

12月の土曜、54歳の美冬は、印刷した年賀状を食卓に積んだ。裏面には、どのはがきにも「この年賀状を最後に、新年のご挨拶状を控えさせていただきます」と入っている。

仕事納めが近づくと、帰宅してから宛名を確かめ、短いひと言を添える。それが毎年の習慣だった。去年は「今年こそ会おう」と書いてから、同じ相手に一昨年もそう書いたことを思い出した。今年で区切ろうと決めて、少し肩が軽くなった。

宛名を印刷する前に、その年の1月に届いたはがきを取り出した。引っ越した人の住所を見落とさないためだ。高校で隣の席だった史子のはがきは、束の真ん中にあった。

「今年の初夢は、冷蔵庫の扉が閉まらない夢でした」

その1年前は、長靴の片方だけで駅まで走る夢。その前は、知らない家の台所で大根をおろす夢だった。どのはがきも1月の半ばに届く。初夢を見てから書くので、いつも遅いのだ。

美冬のはがきにも決まりがあった。「来年も変な夢を待っています」と、最後に書く。実際に会ったのは、もう8年も前だった。史子が今も同じ仕事をしているかは知らない。それでも冷蔵庫の夢は、半年たっても覚えていた。

美冬は史子の宛名を印刷するはずだった1枚を手に取った。「この年賀状を最後に」のすぐ下に、次の初夢の話も聞きたいと書くのは、どうにも変だった。

買い足すのは、1枚

翌週、昼休みに郵便局へ行った。

「年賀はがき、1枚ください」

窓口で受け取ったはがきを手帳に挟んだ。たった1枚なのに、食卓に積んだはがきを前にしていたときより、何を書こうか楽しみだった。

その晩、史子の住所を手で書いた。番地で一度ペンを止め、史子のはがきと見比べた。裏には「私は年賀状をだいぶ減らすことにしたけど、史子には、これからも年賀状を書きたい。返事は、書きたいときだけで」と書いた。

最後に「冷蔵庫は、閉まりましたか」と添えた。

年が明けて、1月も半ばを過ぎた。史子から届いたはがきの裏には、いつもより少し大きな字で「今年は夢を覚えていません」とあった。

その下に、小さく続きがあった。

「冷蔵庫は買い替えました。今度のは、開いていると鳴ります」

美冬は、史子のはがきをしまう前に、台所へ行った。家の冷蔵庫を開けて待ってみると、しばらくして同じように音が鳴った。

来年書くことが、もう一つできた。

この話、実際なら?|友人への年賀状じまい、どう伝える?

1.何を減らしたいのかを考える

印刷や住所確認が負担なら、まず枚数を減らす方法があります。年賀状をやめても時々話したい相手なら、すでに使っている電話やメールで連絡を取ることもできます。年に一度、紙で便りが届くのを楽しみにしている相手には、続けるという選択もあります。

2.相手に合わせて、短く伝える

これまでのお礼と、今回で年賀状を一区切りにすることが伝われば、理由を詳しく書く必要はありません。次の文例は、相手との関係に合わせて調整してください。

  • 年賀状をやめるとき:「毎年のお便りを楽しみにしてきました。年賀状でのご挨拶は今回で一区切りにします。これまでありがとう。また会えるのを楽しみにしています。」
  • 今後は気が向いたときに便りを出したいとき:「毎年の年賀状は少しお休みしますが、ときどき近況をお知らせできたらうれしいです。お返事はどうぞお気遣いなく。」

相手から年賀状じまいの知らせが届いたとき、次の年も年賀状で返す必要はありません。お礼を伝えたければ、すでにやり取りのある方法で短く伝えることもできます。

3.元日に届けたいなら、差し出す日を確かめる

日本郵便の案内では、2027年用年賀郵便物の引受開始は2026年12月20日。元日に届けるための差出目安は12月27日です。詳細は日本郵便の2027年用年賀はがき等の公式発表(PDF)をご確認ください。

次の一歩|来年も便りを書きたい人を思い浮かべる

挨拶文をまとめて印刷する前に、来年も自分から便りを出したい相手がいるか考えてみてください。その人への1枚だけ、別の文面にすることもできます。

付き合い方を見直す別の物語として、グループLINEを抜けたあと、友人を個別に誘った恭介の話もあります。

※郵便の日程は2026年11月7日に日本郵便の公式発表で確認しました。文例と付き合い方は編集部からの提案です。